「競合他社がSNSを始めたらしいけど、うちも始めるべき?」
「でもBtoBビジネスでSNSって意味あるの?」
SNSといえば個人向けサービスのイメージが強く、BtoB企業の営業担当者としては効果を疑問視するのも無理はないでしょう。
しかし、BtoB企業こそSNSを戦略的に活用することで大きなメリットを得られる可能性があります。
この記事では、BtoB企業のSNS活用に焦点をあて、目的やメリット、効果的な活用方法などを解説します。
新たな営業戦略の一つとして、SNSの可能性に目を向けるきっかけとしていただければ幸いです。
目次
BtoB企業がSNSを活用する目的について
「SNSはBtoC向け」「BtoBには関係ない」などと思っていませんか?
実はその考えは古くなりつつあります。
BtoB企業がSNSを活用する主な目的を見ていきましょう。
自社の魅力を発信して新規顧客を獲得
通常、担当者が実際に足を運んで商談できる企業数には時間的・人的な制約があります。
しかしSNSを活用すれば制約を超えて、従来の営業活動ではアプローチできなかった見込み客に、自社の存在や強みを知ってもらうチャンスが生まれます。
さらにSNSを通じて専門的な知見を定期的に発信することで、その分野に課題をもつ企業からの問い合わせにつながることもあります。
企業ブランディングの強化
製品やサービスで他社との違いを打ち出すことは難しく、BtoB企業にとっても大きな課題の一つです。
SNSをうまく活用すれば、企業のビジョンや個性、魅力の発信を通じて自社ブランドを構築し、顧客に「自社を選ぶべき理由」を示すことが可能となります。
製品やサービスだけでなく、企業全体の価値観や文化を伝えることで、顧客との間に感情的なつながりを構築することができる可能性があります。
BtoBでも意思決定者は人間です。企業に対する好感や共感が、契約につながることは少なくないでしょう。
既存のお客様との関係を深める
すでに自社の製品やサービスを購入しているお客様とSNSでつながることで、日常的に情報交換ができるようになります。
新商品のお知らせや使い方のヒント、業界の最新情報など役立つ情報を定期的に届けることで、お客様との信頼関係を強め、長く付き合っていける関係づくりにつながります。
自社製品のアップデート情報や活用方法を配信することも効果的です。
また、ユーザーからの質問や要望にもSNS上で迅速に対応することで、充実したサポート内容をアピールできるでしょう。
このような取り組みによって、既存顧客の継続利用率が向上したり、顧客からの紹介による新規契約が増加したりする可能性があります。
採用活動の支援
企業の雰囲気や社員インタビューの発信などを求職者に届けることが採用活動につながります。
SNSを活用して企業の魅力を積極的に発信することで、採用市場での認知度を高めることができるでしょう。
特に若い世代の求職者にとって、企業のSNS活動は、その企業の文化や価値観を知る重要な窓口となっています。
採用したい人材がどのSNSを利用しているかを分析し、効果的に発信することが大切です。
BtoB企業がSNSを活用するメリットとは
「SNSを始めたとして、実際にどんな効果が期待できるの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
以下では、BtoB企業がSNSを活用することで実際に得られる具体的なメリットをご紹介します。
低コストで多くの人に情報を届けられる
SNSは、展示会やセミナーと比べて低コストで始められるため、予算が限られている企業でも活用しやすいです。
従来のBtoBマーケティング手法では、展示会への出展費用、セミナー会場のレンタル料、印刷物の作成費用など、相当の予算が必要でした。
対してSNSは、アカウント開設が無料で、運用にかかるコストも比較的抑えられます。
有料広告を活用する場合でも、費用対効果を測定しながら少額から始められるため、リスクを抑えつつ効果を検証できる点が魅力です。
また、SNSならではの拡散機能により、幅広い層にリーチできる可能性があります。
人的リソースが限られている企業でも、SNSなら効率的に情報発信ができ、企業規模に関わらず市場での存在感を高めることが可能になります。
業界の最新情報をいち早く集められる
SNSは情報発信だけでなく、市場のトレンドや競合の動向、顧客のニーズをリアルタイムで把握できるツールとしても有効です。
業界のキーパーソンや企業、メディアのアカウントをフォローしておくことで、プレスリリースや記事になる前の最新情報を入手できることがあります。
顧客や競合他社のSNSアカウントをチェックすることで、新製品の発表や組織変更、採用動向など、ビジネス上重要な情報をタイムリーに入手することができます。
これらの情報は自社の商品開発やマーケティング戦略の立案に大いに役立てることができます。
専門家としての信頼を獲得できる
専門的な情報や業界の知見を継続的に発信することで、自社の専門性や信頼性をアピールできます。
特にBtoB領域では、専門性や信頼性が重要な選定基準となります。
BtoBビジネスでは、製品やサービスの選定において「この会社は本当に信頼できるのか」「専門性は十分か」という点が重視されます。
SNSを通じて業界動向の分析や専門的な解説、事例紹介などを継続的に発信することで、「この分野に詳しい会社」「業界をリードする企業」というポジションを確立できるでしょう。
さらに、SNS上での発信が業界メディアに取り上げられたり、講演依頼につながったりすることもあります。
そうした活動を通じて、専門家としての地位を確立し、ブランド力を高めていくことも可能です。
BtoB企業で活用されているSNS
LinkedInは、BtoB企業での活用に適したプラットフォームの一つです。
特に海外市場を視野に入れた企業にとっては欠かせないツールとなっています。
業界関係者や意思決定者とのネットワーキングが可能で、企業の専門知識や事例を発信してブランディングを強化できます。
また、BtoB向けの広告運用が可能で、特定の業種・職種・役職にターゲティングできるのも大きな魅力です。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、拡散力が高く、リアルタイムでの情報発信に適したSNSです。
業界ニュースや最新トレンドの発信・収集の場として、多くの企業が活用しています。
短文で簡潔に情報を伝えられるため、最新ニュースや専門知識の共有に最適です。
ハッシュタグを活用することで、特定のトピックに関心をもつユーザーへのリーチが可能になり、顧客や見込み顧客との対話を通じた関係構築もできます。
Facebookは、世界最大規模のSNSプラットフォームです。
ビジネスパーソンも多く活用しており、BtoB企業にとっても有効な情報発信ツールです。
広告機能が充実しており、細かな条件で見込み客に絞って情報を届けられます。
さらに、同じ業界の人が集まる「グループ」機能を使って、専門家同士の情報交換の場を作ることもできます。
企業の社会貢献活動や社内イベントの様子を共有して、会社の人間らしさを伝えるのにも適しています。
動画やライブ配信も簡単にできるため、製品説明やオンラインセミナーなどにも活用できます。
YouTube
YouTubeは長尺動画がメインのプラットフォームです。
時間をかけた丁寧な説明が可能なため、BtoB企業の製品・サービスの価値を詳しく紹介するのに適しています。
製品デモやハウツー動画による価値提案が可能で、ウェビナーやセミナーのアーカイブとして活用すれば、リード獲得の機会を増やせます。
また、YouTubeは検索エンジンとしての側面もあり、一度作成したコンテンツが長期的な資産として機能する点も魅力です。
Instagramは、写真や短い動画を中心に情報を発信するSNSです。
文字よりも写真や動画が中心のため、製品の見た目や使用シーンを視覚的に伝えるのに適しています。
たとえば、製造業であれば製品の細部や使用時の様子、IT企業ならソフトウェアの画面例や使い方のポイントなどを写真で簡潔に伝えられます。
また、ストーリーズと呼ばれる24時間で消える投稿や、短い動画のリール機能を使って、気軽に情報発信することも可能です。
若い世代の利用者も多いため、新卒採用活動や若手社員の育成プログラムの紹介などにも効果的といえるでしょう。
LINE
日本で最も普及しているメッセージアプリであるLINEは、BtoB企業においても活用の場が広がっています。
LINE公式アカウントを活用すれば、顧客と直接かつ密接なコミュニケーションが可能になります。
セグメント配信機能を使えば、ターゲットに応じた情報提供もできます。
また、リッチメニューやクーポン機能を活用することで顧客体験を向上させたり、問い合わせや相談の受付窓口としても機能させることができます。
TikTok
TikTokは、短い動画を中心としたSNSで、最近ではBtoB企業の活用も増えています。
15秒から3分程度の短い動画で、製品の使い方や業界の専門知識を簡潔に解説できます。
特に複雑な製品やサービスを短時間で直感的に理解してもらいたい場合に効果的です。
親しみやすく面白い動画が広がりやすいため、堅いイメージのBtoB企業でも、ユーモアを交えた投稿で企業イメージを柔らかくしたり、社員の人柄を伝えたりすることができます。
業界によっては競合がまだ少ないため、早期に取り組むことで注目を集められる可能性もあります。
BtoB企業のSNS活用例をご紹介
ここでは、BtoB企業が実際にSNSで発信できる具体的な内容とアイデアをご紹介します。
これらを参考に、自社に合った情報発信を考えてみましょう。
専門性をアピールする
業界の専門家としての立場から、価値ある情報を提供することで信頼を構築できます。
たとえば、業界トレンドや最新レポートの共有、顧客の課題解決に役立つ洞察やノウハウ、自社調査データやホワイトペーパーの紹介などが効果的です。
専門性をアピールする投稿は、直接的な営業メッセージよりも自然に拡散される傾向があります。
各業界には特有の課題や関心事があるため、それらを深掘りした内容を発信することで、「業界を理解している」という印象を与えることができるでしょう。
自社の製品・サービスと成功事例を紹介する
自社の製品やサービスの価値を具体的に伝え、実際の導入事例を紹介することで信頼を高められます。
新製品の発表やアップデート情報、使い方や活用法の提案、顧客の成功事例や導入効果の紹介などが含まれます。
ただし、BtoB企業のSNSでは、あからさまな宣伝は避け、顧客にとっての具体的なメリットや価値を中心に伝えることが重要です。
たとえば、「新製品Aを発売しました」よりも「新製品Aにより○○の課題が解決できます」という伝え方の方が反応を得やすいでしょう。
特に成功事例(導入事例)の紹介は、潜在顧客の不安を解消し、自社への信頼獲得につなげられます。
イベントやセミナーの情報を発信する
展示会やセミナーなどのイベント情報を発信することで、オンラインとオフラインの接点を作れます。
イベントの事前告知や申込促進、当日のライブ配信や様子の共有、イベント後のフォローアップや資料共有などが効果的です。
これにより、イベント参加者を増やしたり、参加できなかった人にも情報を届けたりすることができます。
イベント当日は、会場の様子や講演のハイライト、参加者の声などをリアルタイムで発信することで、SNS上でも話題を作れます。
また、イベント後には講演資料のダウンロードリンクやセミナーのまとめ記事を共有することで、参加できなかった人にも価値を提供できるでしょう。
会社の雰囲気を伝える
企業の人間的な側面や社会的な取り組みを発信することで、親近感や共感を生むことができます。
社員インタビューや社内イベントの紹介、CSR活動や環境への取り組み、企業の理念や価値観の共有などが含まれます。
特にBtoB企業は「堅い」「地味」というイメージを持たれがちですが、SNSを通じて社員の人柄や職場の雰囲気、チームワークの様子などを発信することで、親しみやすく魅力的な企業として印象づけることができます。
社会貢献活動や環境保全への取り組みなどを紹介することで、企業としての社会的責任を果たしている姿勢もアピールできます。
BtoB企業がSNSを活用する時の注意点とは
SNSを効果的に活用するためには、いくつかの重要な注意点があります。
これらを押さえておくことで、SNS運用の失敗を防ぎ、より良い成果につなげることができます。
何のためにSNSを使うのか目的を明確にする
SNS運用を始める前に「最終的に何を達成したいか(KGI)」を明確にしましょう。
新規顧客の獲得なのか、ブランド認知の向上なのか、目的によって投稿内容も変わってきます。
そして、その目標達成に向けた途中経過を測る指標(KPI)として、フォロワー数、投稿への反応率、サイト訪問数などを設定します。
また、営業担当者と連携して「SNSを見た」というお客様の声を集めることで、数字だけでは見えない効果も把握できます。
SNSは購入の直前よりも「知ってもらう」「興味を持ってもらう」段階で効果を発揮するものだと理解し、地道に続けていきましょう。
会社のイメージに合った発信を続ける
企業としての一貫性を保つことも重要です。
企業のイメージに合った投稿内容や表現方法を統一し、対象顧客の関心事や課題に基づいた内容を発信しましょう。
過度な営業色や宣伝色を避け、役立つ情報提供を心がけることも大切です。
複数の担当者が運用する場合は、品質管理のためのガイドラインを整備しておくと良いでしょう。
特にBtoB企業では、専門性と信頼性が重要視されるため、投稿内容の正確性や表現の適切さには細心の注意を払う必要があります。
一度失った信頼を取り戻すのは容易ではないことを念頭に置き、投稿前には内容を十分確認することをおすすめします。
長く続けられる体制づくりを考える
SNSは一度始めたら継続することが重要です。担当者一人に依存せず、組織として取り組む体制を構築しましょう。
投稿内容のチェック・承認の流れも明確にし、経営層には定期的に成果を報告することで、会社全体の取り組みとして位置づけることが大切です。
必要に応じて外部の専門家や代行サービスを活用すれば、担当者の負担を減らしながら質の高い運用が可能になります。
炎上のリスクに備えておく
SNS運用には炎上リスクがつきものです。
万が一の事態に備えて、事前に対応方針を決めておきましょう。
特にBtoB企業の場合、一度の失敗が企業イメージを大きく損なう可能性があるため、慎重な運用が求められます。
投稿前のチェック体制を整えることも重要です。複数の目で内容をレビューし、誤解を招く表現や不適切な内容がないか確認しましょう。
万が一問題が発生した場合は、迅速かつ透明性のある対応で信頼回復に努めましょう。
日頃から社内の危機管理担当者との連携を図り、いざという時の対応体制を整えておくことをおすすめします。

【企業SNSガイドライン】なぜ必要?作成手順や重要項目もわかりやすく解説
BtoB企業がSNSを活用する時のポイントについて
SNSを始めるのは簡単ですが、継続し、ビジネスの成果につなげるには戦略的なアプローチが必要です。
ここでは、BtoB企業がSNSを効果的に活用するための具体的なポイントをご紹介します。
情報を届けたい相手を具体的に決める
効果的なSNS活用の第一歩は、「誰に見てほしいのか」を具体的に考えることです。
「○○業界の購買担当者」「IT部門の管理職」など、理想的な読者像を明確にし、その人が使いそうなSNSを選びましょう。
そして、その人が本当に知りたい情報を提供することで、「この会社の発信は役に立つ」と思ってもらえます。
さらにフォロワーの反応を分析することで、実際にどのような層が関心を持っているかを把握し、コンテンツをより最適化していくことも重要です。
アナリティクスツールを活用して、どの投稿にどのような反応があったかを定期的に確認しましょう。
役に立つ情報を定期的に届ける
SNSで成果を出すには、「買ってください」ではなく「こんな使い方ができます」といった役立つ情報を定期的に届けることが重要です。
製品の活用法や業界の最新情報を、文章だけでなく画像や動画も使って分かりやすく伝えましょう。
また、SNSの根本はコミュニケーションツールです。
コメントでの交流などを通じてエンゲージメントの強化を図りましょう。
ユーザーとの対話を大切にすることで、ファンを増やしていけます。
投稿の頻度や時間帯も効果に影響します。
ターゲットとなる担当者がSNSを見る可能性が高い時間帯(例:平日の朝、ランチタイム、夕方など)を意識して投稿することで、より効果的に情報を届けられます。
他の営業・広報活動と組み合わせて効果を高める
SNSだけで完結させず、自社サイト、メールマガジン、展示会など他の活動と組み合わせることで、より大きな効果が生まれます。
たとえば、展示会の前後にSNSで情報発信をすれば参加者を増やせますし、メールマガジンとSNSで相互に案内すれば、より多くの人に情報が届けられるでしょう。
営業担当者とSNS担当者が情報を共有することで、見込み客の育成にもつながります。
特にBtoBビジネスでは、SNSだけで商談成立まで至ることは少なく、他のマーケティング施策や営業活動との連携が欠かせません。
たとえば、SNSで興味を持った人を自社サイトの詳細情報やお問い合わせページに誘導したり、ホワイトペーパーのダウンロードを促したりする流れを作ることが効果的です。
まとめ
SNSは決してBtoC企業だけのものではなく、BtoB企業こそ専門性を活かした独自の価値提供ができるツールです。
適切に活用することで、新規顧客との出会い、企業ブランドの強化、既存顧客との関係深化など、多くのメリットが得られることがご理解いただけたのではないでしょうか。
すべてのSNSを同時に始める必要はありません。まずは1つのプラットフォームから始めて、徐々に経験とノウハウを積み重ねていくことが大切です。
競合他社のSNS活用をきっかけに「自社も始めるべきか」と考える企業も多いでしょう。
しかし、ただ追随するのではなく、自社ならではの強みや特性を活かした独自のSNS戦略を構築することが重要です。
効果的に運用するためには、専門家に正しいSNS運用の知識やノウハウを教えてもらうのも、有効な手段です。
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著者情報
NWS ライターチーム | manami