近年では中小から大手まで様々な企業がSNSを導入しています。
SNSの活用により売上が飛躍的に伸びた事例もあり、導入を検討している企業も多いでしょう。
しかしSNSには具体的にどのようなメリットがあるのか分からず、導入に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、企業がSNSを運用するメリット・デメリットに焦点を当てて解説します。
本記事が、運用に不安を抱える方の第一歩を後押しするきっかけとなれば幸いです。
目次
企業がSNSを運用する重要性
近年はスマートフォンの普及によって消費者の情報収集や購買行動の中心がオンライン、特にSNSへと移行しています。
総務省が発表したデータによると、日本のソーシャルメディア利用者数は2023年の1億580万人から2028年には1億1360万人に増加すると予測されています。
SNSの利用は若年層中心から全世代へと広がり、日常的なコミュニケーションツールとして定着しています。
幅広いユーザーが利用するため、企業はSNSを「顧客との重要な接点」として位置付けるようになりました。
また、現在は商品やサービスの購入前にインターネット上で情報収集や比較・検討を行うことが一般的になりました。
SNS上では、リアルな口コミやユーザー体験が共有され、検索エンジンと並ぶ重要な情報源となっています。
消費者の購買決定プロセスに影響を及ぼす可能性が大きいことも、SNSが重要視される理由のひとつです。
(参考:令和6年版 情報通信白書 | 総務省)
企業がSNSを運用するメリット
時代の変化とともにSNSは「顧客との重要な接点の場」として、企業から重要視されるようになりました。
今やSNSは、マーケティング活動において不可欠なツールとなっています。
しかし「SNSの重要性は分かったけど具体的にどんなメリットがあるの?」と疑問が残りますよね。
以下では、企業がSNSを運用する5つのメリットを解説します。
認知度向上を目指せる
SNSは多くのユーザーが利用しているため、情報の発信を通じて企業名や商品・サービスを広く知ってもらう機会が増えます。
さらに拡散機能によって、より多くの顧客にリーチできる可能性も高くなります。
継続的な情報発信やユーザーとの交流を通して、企業や、商品・サービスの魅力を効果的に伝えられるのもメリットのひとつ。
ブランディングの向上や確立に繋がり、顧客のロイヤリティを高められます。
商品販売やサービスが始まって間もないなど、認知度に課題を感じている企業は、SNSを活用するのも良いでしょう。
専門的な知識がなくても導入・運用しやすい
多くのSNSプラットフォームは直感的に操作ができ、専門知識がなくても比較的簡単にアカウント開設や情報発信ができます。
運用支援ツールを活用すれば、投稿予約や効果測定などを効率的に行うことも可能です。
ただし、SNSを効果的に活用するには、ある程度の知識や戦略が求められます。
本格的な運用を目指す場合は、SNS運用のプロに相談するのがおすすめです。
マーケティングに活用できる
SNSはキャンペーン告知、新商品・サービス情報の発信、アンケート実施など、様々なマーケティング活動に活用できます。
コメントやメッセージ機能を通じて、顧客と直接的なコミュニケーションを取れるのもポイントです。
顧客のニーズや意見を把握して関係性を深められるだけでなく、問い合わせ対応などのサポートツールとしても活用できます。
低コストで宣伝できる
SNSは基本的に無料で利用が可能です。
有料の広告サービスを利用する場合でも、予算に合わせて柔軟に調整が可能です。
また安価でありながら、従来の広告媒体に比べてより多くのユーザーに情報を届けられる可能性があるため、費用対効果の高い宣伝手段と言えるでしょう。
企業がSNSを運用するデメリット
企業のSNS運用には様々なメリットがありますが、一方で運用上の課題も存在します。
以下では、企業がSNS運用を検討する際に知っておきたいデメリットを3つ解説します。
メリット・デメリットの両方を踏まえて、SNSを導入すべきか見極めましょう。
長期的な運用が必要
SNS運用は短期間で効果が出るものではありません。
定期的な情報発信や顧客とのコミュニケーションを継続することで、徐々に効果が出てきます。
そのため、中長期的な戦略を立てて根気強く運用を続ける必要があるでしょう。
人的リソースや時間が必要
SNS運用には投稿コンテンツの作成、顧客対応、効果測定などの様々な作業が必要です。
これらの作業には、相応の人員や時間が必要となります。
専任の担当者を配置しない場合は、既存の従業員が業務と並行して行うことになり、業務効率の低下をまねく可能性があります。
特に複数のSNSアカウントを運用する場合は業務負担が大きいため、チームを編成する・専任の担当者を配置するなどの工夫が必要になるでしょう。
炎上リスクがある
SNSは情報拡散力が高い反面、不適切な投稿や情報発信、ユーザーからの批判への対応の失敗などが原因で「炎上」が起こるリスクがあります。
不適切な発言や情報発信は、瞬く間に拡散され、企業イメージを損なう可能性があるので注意が必要です。
炎上時には顧客からの批判やクレームが集中する事態も想定されます。
そのため日頃からリスク管理体制を整え、問題発生時には迅速に対応できるよう準備を整えておくことが大切です。
企業で導入されているSNSの特徴
企業アカウントとして運用するためには、各SNSの特徴を知っておく必要があります。
以下に主要SNSの特徴と企業での活用ポイントをまとめました。
目的やターゲットに合った適切なSNSを選ぶための参考にしてみてくださいね。
国内アクティブユーザー数 | ユーザー層 | 特性 | |
---|---|---|---|
X(旧Twitter) | 約6700万人 | 10代~40代 | ・学生から社会人まで幅広い年齢層が利用 ・商品やサービスの口コミが多い |
約6600万人 | 10代~30代 | ・画像、動画投稿で視覚情報に訴える ・詳細な条件で絞り込んで広告配信が可能 |
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約2600万人 | 30代~40代 | ・実名登録制のため情報の正確性が高い ・コミュニティ機能が充実 ・詳細な条件で絞り込んで広告配信が可能 |
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LINE | 約9700万人 | 全世代で高い利用率 | ・主に連絡手段として利用される ・クーポンやお得情報などの配信に向いている |
YouTube | 約7120万人 | 10代~50代 | ・Googleのビッグデータを活用した動画広告配信ができる ・ライブ配信や月額制のサブスクも可能 |
Tik Tok | 約2700万人 | 10代~20代 | ・10代~20代の若年層で圧倒的な利用率 ・縦長で短時間の動画がメイン ・簡単に動画編集できる |
※右にスクロールできます
(参考:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 | 総務省)
ここからはさらに、各SNSの特徴を深掘りしていきます。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)はトレンド性が高く、また文字だけでも投稿ができる手軽さから多くの支持を集めています。
リツイート機能による強力な拡散力も魅力で、幅広い層へ情報を届けることができます。
ただし「手軽で早い」という特性上、情報の信ぴょう性は慎重に判断する必要があります。
Instagramは写真や動画などのビジュアルコンテンツを中心としたSNSです。
10代~30代の、主に女性ユーザーにリーチしやすい傾向にあり、美容・ファッション・食品など、視覚的な訴求力が重要な商材と相性が良いです。
ハッシュタグを活用すればInstagram内での検索にも対応でき、ターゲットとなる顧客層へ効率的に情報を届けられます
またプラットフォーム内での商品の販売も可能なため、企業のブランディングから購買行動への誘導まで、一貫したマーケティング施策を展開できます。
国内のアクティブユーザー数は他のSNSよりも少なめですが、30代~40代のビジネスパーソンにリーチしやすいのが特徴です。
実名登録制のためユーザー属性の正確性が高く、詳細な条件設定による広告配信ができます。
結婚や転職などの報告投稿も多く、「友人とつながり続けるSNS」として今後も長期的に利用するユーザーが多いでしょう。
コミュニティ機能も充実しており、ビジネス関連の商材やサービスのマーケティングに向いています。
ただし実名制のため実際の交友関係が優先される傾向にあり、企業は広告を使わないとリーチを伸ばしにくいのが難点です。
継続的な広告出稿を行うことで、フォロワー数の増加など段階的な効果を期待できます。
LINE
LINEは日本国民のインフラ的な存在となっているコミュニケーションアプリです。
全年代で利用率が高く、特に10代~50代までは90%以上の利用率を誇っています。
ユーザーと「友だち」になることで、情報提供やアンケート、キャンペーンなど様々なマーケティング施策を実施できます。
チャットボットを活用すれば、ユーザー対応の自動化も可能です。LINE広告やLINEスタンプなど、マーケティングに活用できる機能が豊富なのも特徴的。
さらにクーポン配布やキャンペーンの告知を発信していけば、既存顧客のロイヤリティ向上やリピーター獲得も目指せるでしょう。
Youtube
YouTubeは世界最大の動画共有サービスです。
10代~40代の90%以上が利用しており、多種多様なジャンルの動画が日々投稿されています。
企業アカウントを作る場合は、商品紹介や実際にサービスを使っている様子を投稿するのが効果的です。
社内の様子を撮影したり社員紹介をしたりすることで、ユーザー側も企業に親しみやすさを持ちやすくなります。
また長尺動画にも対応しているため、詳細な製品説明やブランドストーリーの発信にも適しています。
視聴者の興味を引きつつ、商品購入や問い合わせといった具体的なアクションを促す構成を意識することで、マーケティング効果を高められます。
TikTok
TikTokは短尺の縦型動画に特化したSNSです。
特に若年層からの支持が厚く、10代の利用率は70%にものぼります。
近年では30代~40代のユーザーも増加傾向にあり、より幅広い層へのマーケティングが可能となりました。
企業アカウントの投稿も一般ユーザーの投稿と同様に表示されるため、広告やコンテンツを多くの人に届けられます。
トレンドを意識した動画を投稿すれば、よりユーザーに興味をもってもらいやすくなります。
若年層をターゲットとする場合は、有力候補になるでしょう。
企業のSNSを成功させるコツ
企業のSNSを成功させるためには、具体的にどのようなポイントを意識すべきなのでしょうか。
以下では企業のSNSを成功させるための4つのコツを解説します。
これからSNSを始めようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
SNSを運用する目的とターゲットを明確にする
SNSを始める前に下記の2つを明確にしましょう。
目的:何のためにSNSを運用するのか
ターゲット:誰に情報を届けたいのか
設定例は以下のとおりです。
目的:何のためにSNSを運用するのか | 認知度向上、売上増加、顧客との関係構築など |
---|---|
ターゲット:誰に情報を届けたいのか | ターゲット層の属性、年齢、性別、居住地、興味関心など |
目的とターゲットが曖昧だと、発信する情報に一貫性が無くなってしまいます。
ターゲットの心に刺さるコンテンツを作成するために、まずはこちらの2つを明確にしましょう。
商品やサービスに適したSNSを選ぶ
SNSプラットフォームによってユーザー層や特性が異なるため、違いを理解した上で自社の商品やサービスに合ったSNSを選ぶことが重要です。
先ほど解説した目的とターゲットが明確になれば、どのSNSを選ぶべきかが見えてきます。
たとえば写真映えする商品ならInstagram、10代の女性がターゲットならTikTokが有力候補になるでしょう。
もし複数のSNSを運用する場合は、それぞれの特性に合わせて情報発信の内容を変えましょう。
効果測定をする
SNS運用は「投稿して終わり」ではありません。投稿の効果を定期的に測定し、改善を繰り返すことが重要です。
効果測定で見るべき指標の例をご紹介します。
アクセス数
コメント数
返信率
問い合わせ数
コンバージョン率
顧客満足度調査(SNSユーザーに対するアンケート調査など)
データに基づく施策・改善案の立案を行うことで、より効果的な運用が実現可能です。
ただし効果測定は、専門知識が必要な場合もあります。
どのように測定すべきか分からない場合は、専門家に相談してみるのもおすすめです。
継続的に運用する
SNS運用は短期間で効果が出るものではありません。
継続的な情報発信とユーザーとのコミュニケーションを通じて、徐々に効果を発揮するものです。
途中で運用を停止してしまうと、それまでの努力が無駄になってしまう可能性があります。
定期的な投稿やコメント対応などを継続すれば、フォロワーの獲得やエンゲージメントの向上につながります。
またネタ切れにならないように、日頃の情報収集も大切です。
ユーザーとの接点を持ち続けるためにも、できるだけ定期的な運用を心がけましょう。
企業でSNSを運用する際の注意点
企業のSNS運用は、個人とくらべて注意すべきことが格段に多くなります。
企業の「顔」としてSNS運用するため、ユーザーに失礼のない対応をするなど様々な配慮が必要です。
ここでは、企業でSNSを運用する際の注意点を解説します。
以下の内容を踏まえて、正しいSNS運用ができるように準備をしましょう。
企業イメージを損なう発言をしない
SNSは情報発信の手軽さと、相手の表情が見えない環境ゆえに、見る人への配慮を欠いた発言をしてしまう危険性があります。
軽率な発言や不適切な表現は企業のイメージを大きく損なう原因となります。
SNS運用担当者は常に「企業を代表して発言している意識」を持ち、言葉遣いや内容に十分注意しましょう。
特に以下のような内容は、トラブルに発展するケースが多いです。
政治的な発言
差別的な発言
個人攻撃
不確かな情報の拡散
投稿前には複数人で内容を確認する体制を整えておくのがおすすめです。
情報漏えいや誹謗中傷の対応策を考える
SNS運用では機密情報の漏えいや、ユーザーから誹謗中傷を受けるリスクがあります。
情報漏えいや誹謗中傷が発生した場合に、どのように対応するかを事前に決めておくと安心です。
誹謗中傷に対しては、法的措置も検討しましょう。
炎上に備えてSNSガイドラインを作成する
炎上は不適切な発言や情報漏えいなどが原因で発生することが多いです。
また炎上してしまうと、事態を収束させるための時間や労力を要するだけでなく、企業イメージにも影響する可能性があります。
不適切な投稿をしないことはもちろん、過去の炎上事例を研究し、どのような投稿が炎上につながるのかを調べておきましょう。
万が一の炎上発生に備えて、対応フローなどのガイドラインを作成しておくことがおすすめです。
【まとめ】企業のSNS運用はメリットが多い!
企業のSNS運用は専門的な知識がなくとも導入しやすく、認知度やブランディングの向上など多くのメリットがあります。
注意すべきポイントを押さえて適切に活用することで、効果的なマーケティングツールとなります。
しかし、人員不足などで運用体制の構築が難しい場合も少なくありませんよね。
そのような場合は、SNSの専門家への相談や、運用の外部委託を検討するのも選択肢です。
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著者情報
NWS ライターチーム | saori