「SNSを運用したいけど、何から始めればいいのかわからない」
「運用したいけど、まずどうしたらいい?」
SNSはブランドの認知拡大や顧客との関係強化など、企業のマーケティング活動の重要な役割を担っています。
そのため、SNSをこれから始めようとしている企業も多いでしょう。
しかし、なかには「具体的に何をすればいいのかわからない」という方もいるのではないでしょうか?
この記事では、初めてSNS運用に取り組む方にも理解しやすいように「SNS運用の始め方」を解説します。
目次
SNS運用とは
SNS運用とは、社名や商品、サービスなどの認知や顧客との関係性強化などを目的として、SNSアカウントを運用することを指します。
企業はSNSを上手く活用することで、顧客とのコミュニケーション強化や認知の拡大などの効果を期待できます。
※先に手順を知りたい方はこちら
企業のSNS運用が重要視される理由
近年、企業でのSNS運用が重要視される理由として、「日本のSNS利用者数の増加」が挙げられます。
上記の調査結果によると日本におけるSNS利用者数は増加し続けており、2026年末には約8550万人に達する見込みです。この数字は全ネットユーザーの約80%に相当します。
今やSNSは情報収集のツールとして、生活になくてはならない存在です。
利用者が年々増加していることや、幅広い年齢層が利用することから、SNSは「より多くの方に向けて情報を発信できるツール」として企業から注目されています。
SNS運用とSNSマーケティングの違い
SNS運用はSNSマーケティングの手法の一つです。
この二つは混同しやすいため、正確に把握しておきましょう。
SNSマーケティングの手法には他にも下記のようなものがあります。
これらの中から、自社にあった戦略や効果的な手法を選択することが重要です。
SNSでの広告発信
SNS運用
インフルエンサーを活用したPR
キャンペーン企画
ソーシャルリスニング
SNS運用は「SNSアカウントを作成して情報発信をする」ことや、「投稿やユーザーとのやりとりから、データを分析する」ことを指します。
企業でSNS運用を始めるメリット3つ
ここからはSNS運用のメリットを解説します。
認知度の拡大が見込める
SNSは導入も簡単で、ネット環境さえあれば誰でも閲覧が可能です。
その特性を活かして幅広いユーザーへアプローチし、認知を拡大することができます。
場合によっては広告以上の効果を発揮するでしょう。
顧客とのコミュニケーションが強化できる
SNSの根本はコミュニケーションツールです。
そのため、広告のような「一方的な訴求」とは異なり、ユーザーとの直接的なコミュニケーションが可能です。
コメントなどの反応や、DM(ダイレクトメール)を通したコミュニケーションは、顧客理解の促進だけでなく信頼関係の構築にも効果的です。
結果として、顧客満足度の向上にも繋がるでしょう。
SNSの分析データが活用できる
SNSの利点の一つに、ユーザーの反応を数値化して分析できることがあげられます。
たとえばInstagramやX(旧Twitter)では投稿に対するフォロワーの属性や反応(いいね、コメント、シェア数など)を確認することが可能です。
データを活用すれば、人気コンテンツの傾向や最適な投稿時間帯を把握し、改善施策に繋げることができます。
企業でSNS運用を始めるデメリット
SNS運用には多くのメリットがありますが、事前に理解しておくべきリスクや課題も存在します。
炎上リスクが伴う
SNS上では誰もが気軽に情報発信でき、また世界中の情報を受け取ることができます。
不特定多数の方が閲覧するため、発信内容に対して好意的な反応ばかりとは限りません。
見る方によっては、発信内容がネガティブに映ってしまい、瞬く間に拡散・炎上するリスクがあります。
一度炎上が起こってしまうと自社やブランドのイメージが下がってしまう要因になるため、発信をする際には、特定のユーザーに配慮がかけていないか、言葉遣いや誤情報になっていないかなど、十分に注意しましょう。
上司や同僚など、複数の視点から内容をチェックする体制を構築しておくと、より安全に運用ができます。
継続的な運用が必要
SNSで認知を拡大するためには、継続的にコンテンツを投稿し続ける必要があります。
一定のペースで投稿を続けることで、更新があるアカウントだと認識され、ユーザーにも覚えてもらいやすくなります。
しかし一度の投稿でも、企画案の作成や、画像・動画のクリエイティブ制作など多くの労力がかかります。
また効果的な運用のためには、コメント返信など、ユーザーとのコミュニケーションも欠かせません。
「ただ投稿し続ける」だけでなく、定期的に分析を行い、施策の見直しと実行を繰り返すことも大切です。
そのため、継続的な運用を行うには企業の人員確保も課題となります。
【6ステップ】企業のSNS運用の始め方
SNS運用を始める時の行動として「アカウント開設」などがあげられますが、実はそれよりも前に行うべきことがあります。
ここではSNS運用を始める時の手順を解説します。
以下の6つのステップに沿って進めれば、はじめて企業のSNS運用をされる方も安心して運用を始められますよ。
SNS運用の目的を決める
まず始めに「何のためにSNS運用をするのか」という目的(KGI*)を明確にします。
目的は、認知拡大・顧客とのコミュニケーション拡大など、企業によって様々です。
運用の目的を明確にすると、目的に向けた適切な目標(KPI**)の設定が可能になるだけでなく、「何を」「誰に向けて」投稿するのかも定めやすくなります。
目標は具体的な数値で設定しましょう。いくつか例を記載します。
フォロワーを3か月で300人増やす
月間エンゲージメント率を3%以上にする
フォロワー数を増やす
エンゲージメント率を上げる
*KGI(キー・ゴール・インジケーター):最終目標
**KPI(キー・パフォーマンス・インジケーター):中間目標。最終目標を達成するための途中のプロセス。一般的にKGIから逆算して考えたもの。
ターゲットを決める
ターゲットを明確にしないまま発信を行うと、内容やデザインの一貫性がないアカウントになる恐れがあります。
特に複数人で運用を行う場合は、チーム間で「ターゲットイメージ」の認識を共有しておくことが大切です。
ターゲットを絞るためのポイントをいくつか紹介しますので、参考にしてみてください。
ターゲットを定めることで、コンテンツ内容やクリエイティブの方向性も決めやすくなりますよ。
以下のようなポイントを考え、具体的な顧客(ペルソナ)を作りましょう。
年齢層 | 10代の学生、40代のビジネスパーソン など |
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性別 | 男性、女性、どちらも など |
職業 | 飲食店、アパレル、営業 など |
興味関心 | 美容、スポーツ、ファッション など |
SNSプラットフォームを決める
SNSにはInstagramやX、Facebook、TikTokなど様々なプラットフォームがあります。
各プラットフォームの特徴を理解しておくことで自社の目的とターゲットにマッチしたSNSを選べます。
ターゲットが多く利用するプラットフォームや、サービス・商材との親和性が高いものを選びましょう。
次の項目で特徴などを詳しく説明します。
※先に各SNSの特徴を知りたい方はこちら
コンテンツの内容を決める
コンテンツは、運用目的やターゲットユーザーの趣向に合わせて作成します。
そのため、先に目的とターゲットを決めておく必要があります。
コンテンツは、ターゲットにとって「役に立つ」「共感できる」「誰かに話したくなる」内容になっていることを意識して制作しましょう。
役立つだけでなく、共感して楽しめるかどうかも大切です。
投稿の頻度を決める
SNS運用では投稿頻度を決めておくことが大切です。
投稿頻度が多すぎるとフォロワーが鬱陶しさを感じてしまい、少なすぎると有益な情報は得られないと判断される場合があります。
適切な投稿頻度はメディアや投稿内容によっても変動します。
たとえばInstagramでのベストな投稿頻度は2〜3日に1回程度、X(旧Twitter)であれば1日に複数回と言われています。
また、投稿する時間帯も重要です。ターゲットユーザーがSNSを見ているタイミングを狙うことで、閲覧がされやすくなります。
分析・改善・投稿を繰り返す
SNS運用を始めた後は分析・改善・投稿を繰り返していきます。
このサイクルを回すことで投稿の精度を上げ、ユーザーやフォロワーに求められるより良いコンテンツを作り上げることができます。
どのSNSを使うべき?各SNSの特徴
自社の運用目的に合うSNSを選定するためには、各プラットフォームの特徴を知っておくことが必要不可欠です。
日本国内の各種SNSの利用率は下記表のようになっています。
表で見ると「LINE」や「YouTube」の利用者数の多さが目立ちますね。
しかし利用者数の多さだけで、運用プラットフォームを決めるのは危険です。
機能やユーザーの年齢層など、利用者数以外の特徴も考慮した上で「自社に合うプラットフォーム」を見極めましょう。
(出典:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 | 総務省)
ここからは、企業で運用されることが多いSNSプラットフォーム6種に絞って特徴をご紹介します。
LINE
主な年齢層 | 全世代で高い利用率 (特に20代~40代が多い) |
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特徴 | ・日本国内での利用者数が1番多いSNS ・メッセージアプリとして日常的に使われている ・公式アカウントで企業の集客やプロモーションが可能 |
商材・サービスの例 | 飲食店 / 小売業 / クリニック / ECサイト など |
主な広告形態 | 友達登録してくれたユーザーに対し、トークで「クーポン」の配信やポイントカードの作成などができ、次回に繋げるための広告配信が可能。 |
YouTube
主な年齢層 | 全世代で高い利用率 (特に10代~30代が多い) |
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特徴 | ・長尺、短尺の動画コンテンツが配信可能 ・長期的なブランディングに強い |
商材・サービスの例 | 商品レビュー / 教育 / 娯楽 / レジャー / BtoBマーケティング など |
主な広告形態 | 自社コンテンツの他に動画広告を運用することで認知拡大が可能。クリエイターと提携してPRなども行われる。 |
X(旧Twitter)
主な年齢層 | 10代〜30代 (最も多く利用しているのは20代) |
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特徴 | ・短文でのテキストコミュニケーションがメイン ・他のSNSに比べて拡散力やトレンド性が強い |
商材・サービスの例 | 最新ニュース / トレンド商品 / アパレル / イベント など |
主な広告形態 | タイムラインへのプロモーション表示が可能。 |
主な年齢層 | 10代~30代、特に女性が多く利用 (40代~50代も半数近くが利用していると回答) |
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特徴 | ・画像や動画(リール)を使って、視覚的に魅力を伝えることに特化 ・ライブ機能やショッピング機能など、商品やサービスの魅力を効果的に伝える手段が豊富 |
商材・サービスの例 | ファッション / 美容 / インテリア / ライフスタイル / 飲食店 / 観光 など ビジュアルやイメージが重視される分野で使用されることが多い |
主な広告形態 |
写真・動画を中心に様々な形式がある。複数の画像を組み合わせることも可能。 ※Instagram広告・Facebook広告は、同じ管理画面で操作を行います |
TikTok
主な年齢層 | 10代~20代 (若年層の利用率が圧倒的に高い) |
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特徴 | ・15〜30秒ほどの短い動画が中心 ・スマホがあれば誰でも簡単に動画が投稿できる ・拡散やいいねなどのエンゲージメントが発生しやすい |
商材・サービスの例 | 音楽 / ファッション / 小売 / 美容 / 食品 / エンタメ など |
主な広告形態 | アプリ起動時に表示される「起動画面広告」や「ハッシュタグチャレンジ」、一般ユーザーの投稿に溶け込む形で表示される「インフィード広告」などがある。 インフルエンサーを起用したPR動画なども。 |
主な年齢層 | 30代〜40代 (30代の利用率が最も高い) |
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特徴 | ・実名での登録が基本 ・個人情報の登録が必要なので、広告のターゲティングがしやすい ・ビジネスで名刺代わりに活用するユーザーも多く、他のSNSと比べるとややフォーマル |
商材・サービスの例 | BtoBマーケティング / 教育 / イベント / コミュニティ運営 など |
主な広告形態 | 写真・動画を中心に様々な形式がある。複数の画像を組み合わせることも可能。 ※Instagram広告・Facebook広告は、同じ管理画面で操作を行います |
SNS運用を始める際に知っておきたいポイント
ここでは、SNS運用を始める際に押さえておくべきポイントを解説します。
炎上のリスク対策
デメリットでも紹介したように、注意しておきたいのが炎上です。
何気ない投稿が誤解を生み、大きな問題へと発展するケースもあります。
またSNSでの炎上は、企業の信用やブランドイメージ低下、顧客離れなどの深刻な影響をもたらす可能性もあるため、日頃から対策しておくことが大切です。
では、どうすればリスクを抑えられるのでしょうか。ここでは対策を3つ紹介します。
- 投稿前にダブルチェックを行う
- 批判的コメントへの適切な対応
- 内部ルールを明確化する
①投稿前にダブルチェックを行う
- 差別的・攻撃的な文章になっていないか
- 正しい情報か
SNS投稿前は複数人でのチェックが望ましいです。
②批判的コメントへの適切な対応
- 事実と異なる場合は冷静に説明する
- 過度な批判には反論せず、静観する
SNSでは様々な意見をもつ方がいるため、批判的なコメントを受けることもあります。
感情にまかせて反論をすると炎上に繋がる恐れがあるため、冷静に対応をすることが大切です。
③内部ルールを明確化する
- 投稿の最終承認者を明確にする
- クレーム対応のフローを決めておく
- 炎上時のマニュアルを作成しておく
トラブルが発生する前にルールを明確にしておくことで、もし炎上が起こった時にも焦らずに対応できるようになります。
運用マニュアルの作成
SNSは継続的な運用が大切です。
そのため一人の担当者に依存せず、チーム全体で運用できるようにしておくと安心です。
マニュアルには、自社で定めた運用ルールをひととおり記載します。
マニュアルがあることで、担当者の不在や交代など不測の事態が発生しても、継続的に運用を行うことが可能となります。
運用マニュアルには以下のような内容を記載します。
投稿に関するルール
緊急時の対応フロー
いいねを返す基準
批判的なコメントへの対応 など
例として、投稿に関するルールを一部紹介します。
投稿頻度 | 3日に1回 |
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投稿時間 | 平日の朝8時 (ターゲットがアクティブな時間帯) |
投稿前の確認フロー | ①○○主任②▲▲課長の順番に承認をもらってから投稿する |
運用の方向性に迷いが生じた際にもマニュアルが役立ちます。
原点に戻り、運用目的やターゲットを再認識することで、一貫性を維持できます。
ポイントを押さえれば、SNS運用の始め方は難しくない!
SNSはポイントを押さえておけば、より安心感を持って運用できます。
まずは小さく始めて、徐々に運用のコツをつかんで行きましょう。
運用にどうしても不安がある場合はプロに相談するのがおすすめです。
NWSは自社でSNSを運用するための体制作りをサポートする研修を行っております。
自社で対応が難しい箇所のみ外注を承ることも可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
※研修事業の詳細はこちらのページからご確認いただけます

著者情報
NWS ライターチーム | mino