「営業活動をしているのに、なかなか成果が上がらない」
「顧客とどこで接点を持つべきか分からない」といった悩みを抱えていませんか?
そんな悩みを解決するのが、ソーシャルセリングです。ソーシャルセリングは、SNSを活用して潜在顧客とつながり、信頼関係を築きながら営業活動を進める手法です。
この手法を活用すればターゲットとなる相手に直接アプローチできるだけでなく、ネットワークを広げ、より効果的にリードを獲得できる可能性が高くなります。
この記事では、ソーシャルセリングの基本的な概念、活用メリット、そして成功に導くためのポイントを紹介します。
目次
SNSを営業に活かす「ソーシャルセリング」とは?
ソーシャルセリングとは、SNSなどを活用して見込み客と信頼関係を構築して販売につなげる手法です。
従来のテレアポや飛び込み営業のようなアウトバウンド営業とは異なり、インバウンドの営業手法です。
SNSを通じてターゲットとなる企業や個人とつながれば、商談につながるリード獲得も期待できます。さらによりパーソナライズされたアプローチができるため、企業のニーズに合った提案もしやすくなるでしょう。
営業でのSNS活用が注目される理由
総務省のデータによると、日本のSNS利用者数は年々増加の傾向にあり、2028年にはSNSの利用者が1億1,360万人に増加すると予測されています。
年齢別で見ると、働いている世代(20~60代)の大半がSNSを利用していることが分かります。
また近年では、幅広い世代が娯楽や仕事など、あらゆる情報をSNSで取得する傾向にあります。総務省の通信利用動向調査によると、「知りたい情報を探すため」という目的でSNSを利用する人が多いことが判明しています。
SNSが幅広い世代の情報収集手段として定着していることから、営業活動においてもSNSを通じた顧客接点の重要性が高まっていると考えられます。
営業でSNSを活用するメリット
営業でSNSを活用する5つのメリットを解説します。
見込み客に効果的にアプローチできる
ソーシャルセリングでは、ターゲットとなる見込み客にピンポイントでアプローチできます。
SNS上ではプロフィール情報やフォロー先、参加グループなどから興味・関心・業界などの情報を事前に把握できるため、相手に響く発信や提案がしやすいです。
たとえばLinkedInで特定の業界に勤務する人に向けて有益なコンテンツを発信すると、関心を持った相手との接点が生まれる可能性があります。見込み客と的確に接点を持てるのが、ソーシャルセリングの大きな強みです。
商談までの期間が短縮できる
ソーシャルセリングは見込み客との信頼関係をSNS上で早期に構築できるため、商談までのリードタイムを短縮できます。これはSNSでの継続的な発信や交流によって、相手が営業担当者に対する信頼を深めた状態で話が進められるためです。
SNSで業界情報やノウハウを発信し続ければ、フォロワーから直接問い合わせが来る可能性も考えられます。
また初回の商談までに一定の信頼関係が構築され、従来の営業よりも営業プロセス全体の効率が向上しやすいでしょう。
コストを抑えられる
ソーシャルセリングは、広告費や交通費などの営業コストを抑えながらリード獲得ができる手法です。
従来の営業活動では訪問や電話、イベント出展などにコストがかかってしまいます。しかしソーシャルセリングは主にSNSプラットフォーム上で行えるため、交通費や人件費を大幅に削減できます。
費用対効果の高い営業活動ができる点がソーシャルセリングの魅力です。
認知拡大やブランディングにもつながる
商品やサービスに関する情報だけでなく「人」や「企業」の考え方・価値観も発信できるのも大きな魅力です。
専門性の高い情報を発信すれば、見込み客に「この人(企業)は信頼できる」と感じてもらいやすくなります。
結果的に自社のファンや共感者の増加にもつながるでしょう。
データや反応がすぐ見える
SNSでは投稿の反応や閲覧数などのデータがリアルタイムで把握できるため、効果測定や改善がしやすいのが特徴です。
投稿に対する「いいね」「コメント」「保存数」などのリアルタイムな反応から、顧客の興味・関心が可視化できます。
たとえばある投稿の反応が良ければ類似コンテンツを増やし、反応が薄ければ改善するといったPDCAを回せます。
どのコンテンツが響いたのかを数値で把握できるため、営業アプローチや投稿内容の改善にもすぐに反映しやすいですね。
営業でSNSを活用する際に利用されるプラットフォーム
続いて、営業でSNSを活用する際に利用される主なプラットフォームを5つご紹介します。
LinkedInは、ビジネス特化型のSNSであり、特にBtoB営業において効果的です。ターゲット企業や意思決定者と直接つながり、プロフィールや投稿を通じて自社の専門性や価値提案を発信できます。
LinkedInを活用した営業事例をご紹介します。
紹介や連絡情報なしでメッセージを送信できる「InMail機能」を活用したアプローチ
業界動向や専門知識に関する投稿を継続的に発信
LinkedInでつながった人のセミナーに参加後、交流会で名刺交換をして自社の運営する別SNSへ誘導
また職種・業界・役職などの詳細なプロフィール情報が充実しており、見込み客を特定しやすいのも特徴のひとつ。
さらにビジネス目的の情報収集や交流に前向きなユーザーが多いため、ソーシャルセリングに適しているでしょう。
X(旧Twitter)
Xは情報発信の「スピード感」と「拡散力」が特徴的なSNSです。
業界の最新動向や自社の専門知識をリアルタイムでシェアする場として活用できます。またテキストのみでも投稿ができるため、気軽に発信ができるのも魅力のひとつ。
ターゲットとなる企業や業界に関連するキーワードやハッシュタグでアピールすれば、認知度向上も見込めるでしょう。
Xを用いたソーシャルセリングの活用事例をご紹介します。
業界の最新トレンドや課題解決に役立つ情報、ツールの活用法などを分かりやすく投稿
ハッシュタグを活用してターゲット層のタイムラインに露出
ダイレクトメッセージのやりとりで信頼性を構築し、オンライン相談など商談化
Xは業界の関心ごとに対して即座に反応が集まりやすく、トレンドに敏感なユーザーが多いです。
スタートアップ企業などの新興企業にとっては「業界の動向を発信する」こと自体が価値あるブランディング活動になります。
また知名度が低いスタートアップにとっては創業者や担当者の顔を見せると投稿に共感が集まりやすく、双方向のやりとりから関係構築につなげられるでしょう。
Instagramは、視覚的な訴求力に強みを持つSNSです。商品やサービスの魅力を写真や動画で直感的に伝えられ、共感や興味を引きやすいでしょう。
また、日常的な投稿やbehind-the-scenes(舞台裏)コンテンツを通じて、企業の人間味や企業文化を伝えやすいのが特徴です。親近感のある発信を行うことで、見込み客に対して自社の価値を印象づけることができます。
Instagramにおけるソーシャルセリングの活用事例を見てみましょう。
ストーリーズを活用したアンケートの実施
イベントのライブ配信
リールで専門知識やノウハウを発信
フォロワーとの距離感が近くなり、自然な形で信頼関係を築けるため、特にBtoC商材に適しているSNSです。
Facebookは、特に長期的な関係構築に適したSNSです。企業ページの投稿やコミュニティ形成により、見込み顧客との接点を維持しやすいです。
またFacebook広告はターゲティング精度が非常に高く、特定の業界や企業規模に絞った広告を出せます。
Facebookにおけるソーシャルセリングの活用事例を見てみましょう。
自社ページでニュース、イベント、事例紹介を定期発信
グループ機能を使って業界別コミュニティを運営・参加
コメントやいいねをきっかけにメッセンジャーで接触
Facebookは実名登録制のため信頼性が高く、中小企業や地域密着型ビジネスでも多く活用できます。
営業担当者個人としての発信も受け入れられやすく、自然な形で信頼を積み上げやすいでしょう。
Youtube
YouTubeは、動画コンテンツを共有するためのプラットフォームで、視覚的に強い影響を与えられます。
SEOにも強く、ターゲット企業が求める情報に関するコンテンツを提供すれば検索結果に表示されるチャンスが高まり、新規リードの獲得も期待できます。
Youtubeにおけるソーシャルセリングの活用事例を見てみましょう。
自社の商品・サービスの解説動画や導入事例を配信
動画概要欄にリンクや問い合わせ先を明記し、視聴者を誘導
全年代で性別を問わず高い利用率を誇っており、検索エンジンではなくYouTube上で直接検索する人も増加しています。
TikTok
TikTokは短尺動画を中心としたSNSで、視覚的・感覚的なインパクトを与えるのに優れたプラットフォームです。
ユーザーの興味関心に基づいて最適な動画を配信する仕組みのため、フォロワー数の大小に関係なくコンテンツを届けるチャンスがあります。魅力的なコンテンツであれば、一気に拡散される可能性もあるでしょう。
TikTokにおけるソーシャルセリングの活用事例を見てみましょう。
ライブ配信での商品・サービス紹介や質問対応
「#〇〇チャレンジ」などのUGC(ユーザー参加型)企画
エフェクトやAR機能を活用した商品紹介
特にエンタメ性・わかりやすさ・テンポの良さが求められる傾向にあります。
見込み客の関心を短時間で引きつけ、親近感や信頼感を構築できるコンテンツづくりがポイントです。

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営業におけるSNS活用を成功させるポイント
営業におけるSNS活用を成功させるポイントは以下のとおりです。
目的や目標を具体的に設定する
ソーシャルセリングを始める際は、「誰に」「何を」届けたいのか、そして最終的に「どうなりたいのか」を明確にしましょう。
目的や目標の具体例をご紹介します。
目的の具体例
- ・見込み客の課題解決につながる情報を届けたい
- ・商品・サービスの活用事例を発信して、具体的なイメージを持ってもらいたい
- ・業界内での専門性・信頼性を高め、認知度を広げたい
目標の具体例
- ・月○件の問い合わせ(DMやフォーム)を獲得したい
- ・毎週○人の見込み客とSNS上でやり取りを開始したい
- ・フォロワー数を○人まで増やし、リーチを拡大したい
具体的な目的・目標があれば投稿内容やターゲットの選定にも一貫性が生まれ、成果につながる行動を取りやすいです。
親しみやすさを意識しながらアプローチする
SNSでは「売り込み感」が出ると敬遠されてしまう可能性があります。そのため、ソーシャルセリングでは、営業ではなく「人として接する」のがポイントです。
プロフィールや発信で人柄や想いを伝え、コメントやDMでは相手の目線に立った自然なやり取りを心がけましょう。
たとえば「〇〇で悩んでいませんか?」と共感から入った投稿などが効果的です。継続的なコミュニケーションを通じて信頼関係が構築され、結果としてコンバージョンにつながる可能性も高まるでしょう。
継続的な発信とコミュニケーションを習慣化する
ソーシャルセリングでは継続して価値ある情報を発信し、フォロワーとのやり取りを習慣化するのが大切です。単発の投稿や接触では効果が見えづらいですが、継続していけば信頼の積み重ねにもなります。
また継続は「この人、いつも見かけるな」という安心感を生み、結果的に相談・商談のチャンスを増やす可能性があります。
「毎週火・金曜日に投稿」「コメントやDMには当日中に返信」といったルールを設け、信頼と関係性を積み上げていきましょう。
数字で振り返って改善する
SNS運用では、投稿の反応や成果を定期的に数字で分析し、改善に活かすのが成功の近道です。思いつきの発信や勘による運用は効果測定ができず、成長が頭打ちになりやすくなってしまいます。
数字を使った効果検証の方法の一例をご紹介します。
インプレッション数・エンゲージメント率・DMからの商談数などを毎月記録・比較
反応がよかった投稿パターンを再現・応用
DM送信数や商談化率など営業的な指標を確認
数字に基づく振り返りを習慣化すれば、徐々にリード獲得など成果の出やすいSNSとなっていきますよ。
まとめ
営業でSNSを活用するコツが掴めれば、ブランディングや認知度の向上だけでなくさらに実際のコンバージョン獲得など直接的な成果が期待できます。
しかし「普段は見る専門だからSNS運用が不安だ…」という方もいらっしゃるかもしれません。
より安心して運用したい場合は、専門家に正しいSNS運用の知識やノウハウを教えてもらえば、悩み解決の近道となるでしょう。
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著者情報
NWS ライターチーム | saori