「うちもSNS、自社運用を始めた方が良いのかな…?」
「時間も知識も自信もないし、うまくいくだろうか…」
企業のSNS運用を検討する際、このように不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
SNSの自社運用は初期費用を抑え顧客との距離を縮める魅力がある一方で、炎上のリスクなどの課題も存在します。
SNSを自社で運用することが最適な選択なのか、しっかりと見極める必要があるでしょう。
本記事では、企業がSNS運用を重要視する理由から、自社でSNS運用するメリット・デメリット、成功のコツまで網羅的に解説していきます。
自社でSNS運用を考えている方の参考になれば幸いです。
目次
企業のSNS運用とは
企業のSNS運用とは、「企業が自社のSNSアカウントを開設し、企業や商品に関する情報を継続的に発信することや顧客とのコミュニケーションを図る活動」を指します。
SNSを活用することで、企業のイメージアップや商品の認知拡大、ファン獲得、ブランディングなどの効果が期待できます。
SNSでの情報収集などが一般的となったいま、情報発信や顧客対応は、現代の企業にとって必要不可欠な要素になりつつあります。
企業のSNS運用の目的
企業のSNS運用の主な目的として、下記4点が挙げられます。
認知度向上 | SNSを通じて多くのユーザーにアプローチし、自社の商品やサービスを知ってもらう。 |
---|---|
ファンの育成 | 顧客との接点を増やし、自社の商品やサービスをより深く理解してもらうことで、長期的な顧客関係を構築する。 |
購買意欲の向上 | 商品に関する情報を発信したり、キャンペーンやクーポンを配布して、顧客の購買意欲を高める。 |
関係性強化 | 顧客からの問い合わせに対応したり、商品に関する理解を深めてもらうことで、顧客との信頼関係を築く。 |
企業はSNSを通じて顧客とコミュニケーションを取ることで、顧客ニーズを把握し、製品やサービスの改善につなげることができます。
また口コミなどのフィードバックを参考にして、より顧客満足度の高い製品やサービスを届けることが可能になるでしょう。
自社の事業特性や状況に合わせて目的を定めることが重要です。
企業のSNS運用で行う業務
一般的な業務内容は下記のとおりです。SNS運用の業務は多岐にわたることが分かりますね。
投稿コンテンツの企画・作成
投稿のスケジュール管理・実行
コメント・DM対応
効果測定・分析
投稿コンテンツの企画・作成
ターゲットユーザーに響く魅力的なコンテンツを企画し、作成します。
テキスト、画像、動画など、各プラットフォームに合わせて作成します。
投稿のスケジュール管理・実行
スケジュールを立て、効果的なタイミングで投稿を行います。
週単位でスケジュールを組むことで、安定した投稿頻度を保つことができます。
コメント・DM対応
ユーザーからのコメント・DM対応を通して、顧客との信頼関係を構築します。
対応のトーン&マナーを統一し、担当者による対応のばらつきを防ぐことが重要です。
効果測定・分析
投稿のリーチ数、エンゲージメント数、フォロワー数の増減などを測定し、効果を分析します。
分析結果をもとに改善策を立案・実行することで、SNS運用の効果をさらに高めます。
SNSの運用体制を整え、担当者やルールを明確化することで、効率的かつ継続的な運用が可能になります。
SNSマーケティングとSNS運用の違い
SNS運用は、SNSマーケティングの一部です。
SNSマーケティングは「SNSを活用したマーケティング手法全体」のことを指し、SNSアカウント運用の他にもいくつかの手法があります。
SNS運用 | 自社のSNSアカウントを開設し、情報発信や顧客とのコミュニケーションを行う。 |
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SNS広告運用 | SNSプラットフォーム上に広告を掲載し、より多くのユーザーにアプローチする。 |
インフルエンサーマーケティング | SNSで影響力のあるインフルエンサーに商品やサービスをPRしてもらう。 |
SNSキャンペーン | プレゼントキャンペーンなどを実施し、ユーザーの参加を促し、認知度向上を図る。 |
ソーシャルリスニング | SNS上の投稿やコメントを分析し、顧客のニーズや不満を把握する。 |
SNS運用はSNSマーケティングの手法の1つとして位置づけられ、SNSマーケティングを成功に導くための重要な要素です。
なぜ今、企業はSNS運用を重要視するのか?
企業がSNS運用を重要視する背景には、SNSが社会に浸透し、消費者の行動に大きな影響を与えていることがあります。
SNSは今や単なる情報発信の場ではなく、重要なビジネス戦略の一部だといえるでしょう。
SNSユーザーの増加
SNSユーザーは年々増加しており、2026年末には、ネットユーザー全体の約8割に相当する規模にまで拡大すると予測されています。
特に、10代から30代の若年層はSNSの利用率が高く、情報収集やコミュニケーションの手段として日常的に利用しています。
SNSを活用することは、商品やサービスを知ってもらう機会の増加に繋がるといえるでしょう。
SNSユーザーの増加は、企業にとって無視できない集客の可能性を秘めています。
購買行動への影響
商品・サービスに対するユーザーの反応(いいね、口コミ)は、顧客の購買行動に大きく影響することがわかっています。
そのため、SNS上で自社の製品やサービスがどのように評価されているか知っておくことが必要です。
顧客の生の声を製品・サービスの満足度向上に役立てることができます。
また企業のSNS運用は、ユーザーの購買意欲を高めるだけでなく、ブランドへの信頼感や親近感の強化も期待できます。
「選ばれる製品・サービス」を作るためには見逃せないポイントですね。
顧客との関係性構築
SNSは企業が顧客との距離を縮め、より親密な関係を築くための有効なツールです。
問い合わせに対して誠実に応対するなど、コミュニケーションを大切にすることで顧客満足度の向上につながります。
また顧客との接点を増やしブランドへの愛着を深めることで、長期的な関係を築くことができます。
SNSは企業が顧客との継続的な対話を通じて、ともに成長していくためのプラットフォームとなるでしょう。
SNSを自社で運用するメリット
ここではSNSを自社で運用するメリットを3つ紹介します。
自社にノウハウが蓄積される
SNSを自社で運用することで、知識やスキルを社内に蓄積できます。
SNS担当者が運用経験から得たノウハウで、自社に適した効果的な戦略を組み立てることが可能になるでしょう。
蓄積されたノウハウは将来的に社内の人材育成にも活用でき、企業の持続的な成長を支えます。
外注コストを削減できる
SNS運用を自社で行うことで、外部の代行業者に支払う運用コストを削減できます。
自社で運用を行えば、教育・研修などの初期費用や担当者の人件費はかかるものの、長い目で見れば出費は抑えられるでしょう。
意思決定のスピードが速い
SNSを自社で運用すると、迅速な意思決定が可能になります。
市場のトレンドや顧客の反応をキャッチしてすぐ、コンテンツやキャンペーンに反映することもできるでしょう。
外部の業者に依頼する場合、タイミングによっては情報の伝達に時間がかかってしまうことも。
自社で運用すればタイムラグを最小限に抑え、SNSの変化の速さにも適応しやすくなります。
SNSを自社で運用するデメリット
SNSの自社運用にはデメリットも存在します。
検討の際にはデメリットを十分に考慮した上で、適切かどうかを判断しましょう。
人的リソースが必要
SNSの自社運用には、投稿コンテンツの企画・作成、効果測定、コメント対応など、多岐にわたる業務が発生するため、人的リソースの確保が不可欠です。
専任の担当者を置くのが理想的ですが、他の業務と兼任するケースも少なくありません。
工程が多く、担当者が疲弊してしまう可能性も十分に考えられます。
また、SNS運用には専門知識が必要であり、担当者の育成や採用にはコストがかかります。
人的リソースの不足は、投稿頻度の低下やコンテンツの質の低下を招き、効果的なSNS運用を妨げる要因となるため注意が必要です。
効果が出るまでに時間がかかる
SNS運用は手軽に始められますが、発信したからといってすぐに効果が出るわけではありません。
短期間での成果を期待するのではなく、長期的な視点で根気強く取り組むことが重要です。
また、ノウハウがない状態で始めると、手探りでの試行錯誤が必要となり、
自社に最適な運用方法を見つけるまでにより多くの時間がかかってしまいます。
競合がひしめくSNSで成果を出すには、SNS運用の知識が不可欠です。
状況に応じて、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
炎上のリスク
SNS運用には炎上のリスクが伴います。不適切な投稿や顧客対応の不手際は、企業のブランドイメージを大きく損なう原因となりえるでしょう。
政治的・宗教的な発言、競合企業への誹謗中傷、人種差別的な発言などは炎上の原因となりやすく、特に注意が必要です。
個人情報の流出や著作権侵害なども重大な問題に発展する可能性があります。
炎上を未然に防ぐためには、投稿内容のチェック体制を整え、従業員への教育を徹底することが重要です。
炎上が発生した際は迅速に対応できるよう、フローを決めておくなど、日頃から対策を練っておきましょう。
【5ステップ】SNSを自社で運用するための手順とコツ
ここでは、SNS運用を始める際に「まずやるべきこと」を5つ紹介します。
SNS運用の目的を明確にする
まずは、「何のためにSNS運用を行うのか?」を明確にしましょう。
目的の例として、以下のようなものがあげられます。
自社の状況に合わせて、設定を行いましょう。
認知度の拡大
ファンの育成
購買意欲の向上
関係性の強化
たとえば、立ち上げ初期のブランドであれば認知度拡大を、すでに認知度がある場合はファン育成を目的とするのが良いでしょう。
SNS運用でのターゲットを明確にする
目的を定めたら、次は「誰に向けて発信していくのか?」を明確にします。
目的とターゲットを明確にすれば、アカウントの方向性が定まってきます。
ターゲットの属性(年齢、性別、職業、趣味、居住地など)を詳細に設定し、よりパーソナルで共感を呼ぶコンテンツの作成を目指します。
悩みや課題を解決できるコンテンツは、ロイヤリティの高いユーザーの獲得にも繋がるでしょう。
自社の商品やサービスにあったSNSを選定する
ターゲットが明確になったら、自社の商品やサービスを訴求するのに適したSNSを選定します。
プラットフォームごとに、ユーザー層の違いや特徴があります。
自社のターゲットとするユーザーが多く利用しているSNSを選び、そのSNSの特性に合わせたコンテンツを配信することが重要です。
SNS | 特徴 |
---|---|
30代~40代の利用が多い。 実名制のため、ビジネス関連の発信やBtoB商材や転職商材などにも適しています。 |
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視覚的に訴えるコンテンツが効果的で、10代~30代の若年層の利用者が多いのが特徴です。 | |
X(旧Twitter) | リアルタイムな情報発信や拡散性に優れており、話題性のあるコンテンツが拡散されやすい傾向にあります。 10代~40代の利用者が多く、なかでも20代の利用率が高くなっています。 |
LINE | 全年代で高い利用率のコミュニケーションアプリ。 1対1のコミュニケーションに適しています。 |
YouTube | 動画コンテンツの発信に適しており、幅広い層にアプローチできます。 LINE同様、全世代で高い利用率となっています。 なかでも10代~20代の利用率が多く、95%を超えています。 |
TikTok | 10代~20代の若年層に人気のショート動画プラットフォーム。 エンターテイメント性の高いコンテンツに適しています。 採用を視野に入れた認知拡大の目的で使用されることも。 |
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運用体制やルールを決める
SNS運用を継続的に行うためには、運用ルールを明確にする必要があります。
投稿内容の企画・作成、効果測定、コメント対応など、誰がどの業務を担当するのかをあらかじめ決めておくことで、スムーズな運用が可能になります。
アカウントのデザインや世界観、投稿頻度など、一貫性の維持にも役立ちます。
炎上対策として、投稿内容のチェック体制を整えることも忘れないようにしましょう。
改善と継続を行う
SNS運用は短期的な成果を期待するのではなく、長期的な視点で継続的に取り組むことが重要です。
「エンゲージメント」や「リーチ」など、投稿の効果を測定し分析することで、改善点を見つけられます。
分析・改善を繰り返し行うことで、運用の精度を高めていくことができます。
また、SNSのトレンドは常に変化しています。
そのため常に最新情報をキャッチアップし、運用方法を柔軟に変更していくことが大切。
トレンドをリサーチすることで、ネタ切れも防げるでしょう。
SNSの自社運用でよくある失敗と対策方法
SNSはうまく活用すれば強みを発揮できるものの、専門的なノウハウなしでの運用は想定した効果を得られないことがあります。
場合によっては、むしろマイナスに働くことも。
ここでは自社運用でよくある失敗例と、その対策を解説します。
発信内容に一貫性がない
よくある失敗として「コンテンツのテイストや内容に一貫性がない」ことが挙げられます。
せっかく発信しても投稿の内容やテイストがバラバラでは、ターゲットに届きづらくなってしまいます。
認知の拡大やファンの育成など、本来の目的から外れ、いつの間にか「フォロワーを増やすこと」が目的になっているケースも見られます。
対策として、まずはSNS運用の目的を明確化し、社内で共有しましょう。
さらに、ターゲットとするユーザーを明確にしペルソナを設定することで、投稿内容やコミュニケーションに統一感を持たせることができるでしょう。
アカウントの一貫性を保つため、ロゴマークや色使い、文章のトーンなどを統一し、ユーザーが直感的に自社のコンテンツだと認識できる仕組み作りが大切です。
非常時の対策が不十分
SNS運用において、炎上や情報漏洩などのリスクは常に存在します。
特に、担当者のリテラシーが不足していると、投稿内容がコンプライアンスに反したり、ユーザーの反感を買ったりするリスクが高まります。
また、顧客対応の不手際や、不適切なコンテンツの投稿も、炎上の原因となり得るため注意しましょう。
非常時の対策が不十分な場合、企業の信頼を大きく損なう可能性があります。
そのため、あらかじめ炎上を予防するための体制を構築しておくことが重要です。
投稿内容は複数の担当者でチェックし、不適切な表現や情報が含まれていないか確認するようにしましょう。
炎上が発生した場合の対応フローを作成し、迅速かつ適切に対応できるように備えておくことも大切です。
継続ができない
SNS運用は短期間で成果が出るものではありません。長期的な視点での継続運用が必要です。
しかし、リソース不足や効果が見えないことなどから、運用を諦めてしまう企業も少なくありません。
無理のない範囲で運用計画を立て、長く継続できるように工夫することが大切です。
たとえば、コメントの返信件数を10件から5件に減らすなど、必要に応じてルールを組み直すことも検討しましょう。
社内のリソースが不足している場合は、SNS運用代行を検討するのも有効な手段です。
SNSの自社運用が難しいと感じたら?
SNSの自社運用にはたくさんのメリットがありますが、相応の人員や労力が必要なのも事実です。
SNSの自社運用が難しいと感じたら、外部の専門業者に運用を依頼するのも一つの手です。
戦略立案から実行まで一貫してサポートしてくれる企業なら、自社の負担を大幅に軽減できます。
将来的に自社運用を検討している場合は、研修や内製化支援サービスを活用することもできます。
専門家による研修を受け、社内でSNS運用ができる体制の構築が可能です。
自社の状況やニーズに合わせて、最適な方法を選択し、効果的なSNS運用を実現しましょう。
株式会社NWSでは、企業様の課題に合わせて「外注」と「研修」を効果的に組み合わせた「SNS運用の内製化支援」を行っております。
ぜひお気軽にご相談ください。
※研修事業の詳細はこちらのページからご確認いただけます

著者情報
NWS ライターチーム | ゆみか