X(旧Twitter)は日本でも使用率が高く、幅広い年齢層が利用しているSNSプラットフォームです。
テキストのみでもポストが可能な手軽さや高い拡散性が支持されており、企業の活用事例も多く見られます。
本記事では、X(旧Twitter)を活用したWebマーケティングの方法にくわえて、効果を高めるコツや注意点も解説します。
X(旧Twitter)の運用に不安を抱える方の一歩を後押しするきっかけとなれば幸いです
X(旧Twitter)がWebマーケティングに及ぼす影響とは
Googleによると、SNS上の被リンクはSEOには直接的に影響しないと言われています。
というのもGoogleは検索結果の品質を維持するためSNSからのリンクを「nofollow(*)」として扱い、評価対象から除外しています。
しかし、間接的な影響はいくつかあると考えられます。
X(旧Twitter)がWebマーケティングに及ぼす代表的な3つの影響を見ていきましょう。
* nofollow : 検索エンジンのクローラーに「リンク先を辿らせない」ようにする指示
SNS経由での流入増加
X(旧Twitter)ではプロフィール欄にリンクを設定できるため、そこから自社サイトへの流入が見込めます。
弊社でもX(旧Twitter)の運用を本格的に開始してから、SNS経由での流入数が増加しました。
興味をもってくれるユーザーを自社サイトに呼び込むことで、自社の商品やサービスをより詳しく知ってもらうことができます。
拡散による認知拡大
拡散により自社名やサービスの露出機会が増えると、商品やサービス、企業名などの認知度が向上します。
また拡散されたコンテンツが有益だと判断された場合には、メディアやブログ記事に引用され、「サイテーション(*)」や「被リンク獲得(**)」につながる見込みもあります。
多くの人に認知してもらえると信用度も高くなり、SEOにおいても一定の影響があると考えられています。
* サイテーション: Web上で誰かに名前を出してもらうこと
** 被リンク獲得: Web上で誰かにリンクを貼ってもらうこと
認知拡大による自然検索の増加
情報拡散により企業名や商品名が広く認知されると、興味をもつユーザーは検索エンジンに直接キーワードを入力して検索(自然検索)するようになります。
たとえば新製品の情報が拡散されると「興味はあるけど、本当にいいのかな?」と関心を持ったユーザーが「製品名 レビュー」などのキーワードで検索するケースが考えられます。
自然検索の増加は、検索エンジンにとってWebサイトの信頼性や人気を示す指標にもなります。
そのため、検索順位の向上につながる可能性も秘めています。
X(旧Twitter)Webマーケティングのメリット
今やX(旧Twitter)などのSNSは、Webマーケティング活動において不可欠なツールとなっています。
しかし、具体的にどんなメリットがあるのか疑問に思う方もいるのでは。
以下では、企業がX(旧Twitter)をWebマーケティングの手法として活用する3つのメリットを紹介します。
リアルタイム性や拡散力に優れている
X(旧Twitter)はリアルタイム性に優れており、最新ニュースやトレンド情報を速くたくさんのユーザーに届けられます。
またリポスト機能による情報の拡散も期待できます。ただし炎上やトレンドなど良くも悪くも話題になりやすいので、発信内容には注意が必要です。
幅広い層にアプローチできる
X(旧Twitter)は年齢・性別・職業など、幅広い層のユーザーが利用しているプラットフォームです。
年齢別の利用率を見ると、10~30代の利用率が特に高くなっていますが、40代でも約半数(47.3%)の方が使用しています。
男女比にほとんど差がないことも特徴的です。
さまざまな属性のユーザーが存在するため、多様なニーズやトレンドを把握し、マーケティング戦略に反映させることができます。
また潜在的な顧客層にもリーチできる可能性が高く、広範な認知の拡大や情報発信にも効果的です。
(出典:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 | 総務省)
X(旧Twitter)アナリティクスの活用で施策改善がしやすい
X(旧Twitter)のPremiumアカウント(有料)に登録すると、アナリティクス機能が利用できます。
アナリティクスを活用すると、インプレッション数やエンゲージメント率、リーチ数などデータが確認できます。
これらの データを活用することで、効果的な施策を打ち出せるでしょう。
たとえば、以下のような対策を講じることが可能です。
情報発信
インプレッション数の高いツイートの傾向を分析して同様のコンテンツを増やす
エンゲージメント率の低いツイートの原因を特定し、改善策を講じる
X(旧Twitter)Webマーケティングのデメリット
X(旧Twitter)を活用したWebマーケティングにはさまざまなメリットがありますが、一方で運用上の課題も存在します。
以下では、X(旧Twitter)Webマーケティングを検討する上で知っておきたいデメリットを2つ解説します。
メリット・デメリットの両方を踏まえて、本当にX(旧Twitter)Webマーケティングを実践すべきか見極めましょう。
炎上リスクが高い
X(旧Twitter)には情報拡散力が高いというメリットがありますが、不適切な発言や情報発信も瞬く間に拡散され、炎上につながる可能性があります。
実際に総務省の調査でも、X(旧Twitter)はSNSプラットフォームのなかでも炎上のきっかけとなることが多いと明らかになっています。
炎上した場合は企業のブランドイメージを大きく損なうだけでなく、顧客からの信頼を失うことにもなりかねません。
X(旧Twitter)を運用する際は常に炎上リスクを意識し、 慎重な情報発信を心がけましょう。
成果が出るまでに時間がかかる
SNS全般に共通しますが、X(旧Twitter)は即効性のあるマーケティング手法ではありません。
アカウント開設直後からフォロワーが増えたり、売上につながったりするわけではないため、地道な情報発信やユーザーとのコミュニケーションを継続する必要があります。
X(旧Twitter)Webマーケティングの活用方法
ここでは、X(旧Twitter)を活用したWebマーケティングの具体的な方法を解説します。
X(旧Twitter)の主な活用方法は大きく分けて6つあります。
情報発信
ユーザーとのコミュニケーション
広告の配信
インフルエンサーマーケティング
キャンペーン
個人アカウントの運用
情報発信
企業アカウントでの情報発信には、以下のようなメリットがあります。
企業や製品、サービスのPRが可能
ブランディングへの効果が期待できる
たくさんの人に情報を届けられる
また、継続的な情報発信によってブランディングへの効果も期待できるでしょう。
通常のポストのみであれば費用はかからないのも嬉しいポイントです。
より効果的な運用のためには、以下の点を意識しましょう。
一定のポスト頻度を維持する
フォロワーにとって価値のある情報を提供する
炎上などのリスクを回避するため、一つひとつのポストの質を維持することも大切です。
リスク回避の具体的な方法は記事の後半で紹介します。
ユーザーとのコミュニケーション
X(旧Twitter)は、ユーザーとのコミュニケーション強化にも効果的です。
日頃から積極的にコミュニケーションを取ることで、親近感や信頼感が生まれ、「このブランドを応援したい」という気持ちにつなげられます。
寄せられたコメントに返信するだけではなく、企業側から能動的にユーザーとコンタクトを取る「アクティブサポート」も有効です。
自社に言及しているユーザーの疑問解消や、おすすめ商品の案内といった「接客」にもX(旧Twitter)が活用できます。
ただしポストやフォロワーが少ない段階でアクティブサポートをすると、 ユーザーに不審に思われる可能性もあります。
フォロワーが一定数(目安:100人)を超えてから実施すると良いでしょう。
広告の配信
広告配信は有料ですが、ターゲットユーザーのタイムラインに直接表示させるなどの効果的なアプローチが可能です。
「おすすめトレンド欄」や「おすすめユーザー欄」に表示させることで、今まで自社を知らなかったユーザーへの露出も見込めます。
場合によっては、閲覧したユーザーがリポストするなどの「二次拡散」が起こるケースもあります。
二次拡散はユーザーが行うため、企業側では追加費用がかからないのも魅力です。
X(旧Twitter)は複数の配信方式に対応していますが、現在主流となっているのは「プロモ広告」です。
通常のポストに溶け込む形でタイムラインに自然に表示ができ、テキストのみ、画像・動画付き、カルーセルなどさまざまな形式での配信が可能です。
ターゲットユーザーが比較的狭い、BtoB系・金融系・不動産商材などで活用されています。
インフルエンサーマーケティング
X(旧Twitter)上で多くのフォロワーをもつなど、影響力のある人物に情報発信を依頼する「インフルエンサーマーケティング」も効果的な手段です。
インフルエンサーマーケティングには以下のようなメリットがあります。
企業が直接宣伝するよりもユーザーに受け入れられやすい
広告色の薄いPRが実現できる
新規ターゲット層へのリーチが可能
ステルスマーケティングとは、消費者に広告だと隠して商品やサービスを宣伝する行為です。
消費者を欺く行為として 近年は特に問題視されています。インフルエンサーマーケティングを行う際は「PR」の表記を入れるなど、広告だと明示しておきましょう。
消費者庁のホームページで詳細を確認しておくと安心です。
(出典:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁)
キャンペーン
X(旧Twitter)キャンペーンは、参加者へのプレゼント提供など、ユーザーにもメリットがある施策です。
「フォロー」「RT」「ハッシュタグポスト」といった参加条件を設けることでフォロワー獲得や情報拡散を効率的に実現できます。
話題性を獲得してトレンド入りを果たせば、さらなる拡散効果も期待できます。
個人アカウントの運用
企業アカウントだけでなく、スタッフなどの 個人アカウントを開設し、相乗効果を図る方法もあります。
公の視点ではなく、個人的な意見や考えをポストできるため、企業アカウントよりも親近感をもってもらいやすく、ユーザーとの距離を縮められるのが特徴です。
また個人の専門性や考えを発信することで、信頼性を高める効果も期待できます。
ただし 機密情報の漏えいには十分注意しましょう。ガイドラインを設けるなど、対策をしておくことが大切です。

【企業SNSガイドライン】なぜ必要?作成手順や重要項目もわかりやすく解説
X(旧Twitter)Webマーケティングのポイント
以下ではX(旧Twitter)を活用したWebマーケティングを成功させる4つのポイントを解説します。
事前にターゲットや目標を明確化しておく
X(旧Twitter)を始める前に、誰に向けて発信するのか(ターゲット層)、発信した結果として何を達成したいのか(目的)を明確にしておくことが重要です。
たとえば年齢、性別、興味関心など具体的なターゲット層を定めることで、より効果的な情報発信ができるようになります。
また認知度向上、自社サイトへの誘導、顧客獲得などの目的に沿ったKPIを設定すれば、運用効果も測定しやすいでしょう。
運用体制を整える
X(旧Twitter)を効果的に運用するためには、事前に適切な運用体制を構築しておくことが重要です。
以下のような内容を決めておくと、運用がスムーズになります。
担当者の決定 | ポスト内容の作成、コメントへの対応、効果測定など、X(旧Twitter)運用を担当するスタッフを決める |
---|---|
役割分担 | 複数人で運用する場合、それぞれの役割分担を明確にしておく |
運用ルールの作成 | ポスト時間、内容、トーン&マナーなど、運用に関するルールを定める |
情報漏えいや誹謗中傷のリスクに備える
X(旧Twitter)は拡散力が高いため、ポストした内容が予期せぬ形で広がるリスクも持ち合わせています。
機密情報などが拡散されると取り返しのつかない事態に発展する可能性があるため、チェック体制を整え、日頃からリスクに備えましょう。
下記のような対策が考えられます。
ポスト前に複数人で内容確認を行う
ポスト後の反応やコメントを定期的にチェックする
個社内外からの問い合わせ対応フローを決めておく
炎上対策をする
炎上は 企業のイメージを著しく損なう可能性があるため、リスクに備えて対策を練ることが大切です。
炎上が発生した場合のガイドライン(謝罪、情報訂正、説明など)を準備しておくと良いでしょう。
過去の炎上事例を研究して、どのようなポストがトラブルにつながりやすいのかを把握しておくのも有効な手段です。
X(旧Twitter)Webマーケティングの効果を高めるコツ
X(旧Twitter)をさらに効果的に運用したい方向けに、3つの実践的なコツを解説します。
ターゲットの利用率が高い時間にツイートする
一つ目のコツは、ユーザーが多く閲覧している時間帯を狙ってポストすることです。
総務省のデータによるとインターネットの利用率が高いのは以下の時間帯となっています。
起床~通勤
お昼
帰宅後~就寝時間
まずは一般的に利用者が多いとされるタイミングでのポストから始め、アナリティクスで効果的な時間帯を見極めていきましょう。
その際、狙っているターゲットが獲得できているか確認した上で調整するとさらに精度を高められます。
興味関心をもつ可能性があるユーザーの目に触れる機会を増やすことで、サイト流入や自然検索の増加にもつながるでしょう。
(出典:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 | 総務省)
動画・画像・バナーなども同時に投稿する
目を引くポストにすることも重要です。ユーザーの興味を引きつけるポストは閲覧数の増加にもつながります。
弊社が運用しているX(旧Twitter)のアカウントを一例としてご紹介します。
以下の画像は同日にポストされた「文字だけのポスト」と「画像付きのポスト」です。
こちらを見てみると、文字だけより画像付きポストの方が閲覧数が伸びているのが分かります。
自社メディアへの誘導リンクを掲載する
X(旧Twitter)はポストできる文字数に制限があります。そのため詳細な情報や伝えたい内容をすべてX(旧Twitter)内で完結させることは難しい場合もあります。
興味をもってくれるユーザーが「もっと知りたい」と思った時に応えられるよう、プロフィール欄にリンクを設置しておくようにしましょう。
Webサイトを閲覧してもらうことで、 X(旧Twitter)では伝えきれない情報を紹介できます。
商品・サービスの詳細情報を提供することで、購入や申し込みなどのコンバージョン率も高められるでしょう。
【まとめ】X(旧Twitter)を活用してWebマーケティングに役立てよう!
X(旧Twitter)のリアルタイム性や拡散力の高さをWebマーケティングに活用すれば、認知度やブランドイメージの向上なども期待できます。
注意すべきポイントやデメリットもありますが、それ以上に取り組むメリットは多いでしょう。
もし「SNS運用まで手が回らない」「ノウハウがない」などの不安がある場合は、SNS運用のプロに相談してみるのもおすすめです。
株式会社NWSでは企業向けのSNS研修や、SNSを含むWebマーケティング戦略などのご相談を受け付けています。
人員やノウハウが不足している部分のみ、外注を承ることも可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

著者情報
NWS ライターチーム | saori