
「求人を出しているのに、なぜか応募が来ない」
「応募があっても、求める人物像と違う人ばかり…」採用担当者なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
特に新卒採用においては、中小企業は大手企業との競争が激しく、優秀な人材の確保は年々困難になっています。
採用活動に時間とコストをかけているのに、なぜ理想的な人材に出会えないのでしょうか。この記事では、「いい人が来ない」根本的な原因を解明し、採用戦略を詳しく解説します。
本当に採用すべき「いい人」とは?

企業にとっての「いい人」の定義とは一体どんなものでしょうか。
多くの企業が、「有名大学出身」「豊富な資格」「高いTOEICスコア」といった抽象的・画一的な人材要件を設定しがちです。しかし、これが採用活動における大きな落とし穴となっています。
なぜなら、自社にとっての「いい人」の定義は、企業の事業フェーズ、組織の状況、そして求めるスキルセットによって、まったく異なるからです。
たとえば、創業期・成長初期の企業での「いい人」は、指示待ちではなく、自ら課題を見つけ、泥臭く行動できる学習意欲とフロア精神を持った人材。
組織が安定しつつある企業では、既存の業務を効率化するための専門知識や、多様な部署や年齢層と、円滑に連携できる高いコミュニケーション能力と柔軟性を持った人材が求められます。
このように、企業ごとに「今、誰を採用すれば、最も成長できるか」という基準は異なります。抽象的な「優秀な人」ではなく、「自社の現状を打破し、次のフェーズへ進めるために必要な具体的なスキルや意欲を持った人」こそが、真の「いい人」なのです。
いい人が来ないのはなぜ?「根本原因」3選

「いい人が来ない」のは、企業側の情報発信や採用方法に問題があることがほとんどです。
【原因①】会社の魅力や働く価値が伝わっていない
多くの企業が作成する求人情報には、給与、勤務地、福利厚生といった「条件面」の情報と、「営業業務全般」「事務作業」といった抽象的な業務内容が記載されています。これらは、もちろん重要な情報です。
しかし、求職者は、その情報にくわえて、職場の雰囲気や働く人の様子など、多様な情報を知りたいと思っています。
表面的な情報だけでなく、「どんな人たちが、どんな雰囲気の職場で、どんな価値観を大切にしながら働いているのか」という、リアルな情報発信が必要です。
【原因②】他の求人と差別化できていない
従来の求人媒体では、同業他社との差別化が困難です。決まったフォーマットでしか情報を伝えられず、特に中小企業は大手企業と同じ土俵で戦うため、不利になりがちです。
また、 広告掲載費用が高額になる傾向があるため、採用した人材の離職は企業にとって、大きなダメージとなる可能性があります。応募を待つだけの受け身の姿勢では、本当に欲しい人材にリーチできません。
【原因③】欲しい人材がいる場所に情報が届いていない
現在の若者(Z世代)の情報収集手段はSNSが中心です。就職活動でも、求人サイトよりもSNSで企業情報を収集し、実際に働いている人の口コミを重視する傾向があります。
たとえば、 X(旧Twitter)で社員の日常をチェックし、Instagramで職場の雰囲気を確認し、TikTokで企業の考え方を動画で視聴します。
彼らは転職サイトの口コミを詳細に調べ、実際に働く人の生活や価値観に共感できるかを重視していると考えられます。
そのため、SNSを活用しないことは、優秀な人材との接点創出、魅力を自然に伝える機会、双方向コミュニケーション、ブランディングの機会を逃しているといえるでしょう。
これらの根本原因を解決するためには、従来の採用手法から脱却し、SNSを活用した現代的なアプローチが不可欠です。
「いい人」を惹きつける!SNS時代の採用戦略7選

根本原因が分かったところで、具体的な解決策を見ていきましょう。
SNSを活用した採用戦略で、いい人材との接点を構築できます。
【戦略①】社員の日常発信で職場の雰囲気を伝える
Z世代は特に「リアル」な情報を重視しがちです。そのため、実際に働く社員の声は、企業の公式発信より求職者の関心を強く引きます。
たとえば、 X(旧Twitter)で「今日は新プロジェクトを任されました。1年前は想像もできませんでしたが、上司の温かいサポートに感謝です」といった等身大の投稿。Instagram ではオフィスの様子や社内イベント、同僚との交流を写真で紹介。
発信を継続するだけでなく、業界関連のハッシュタグを活用することで、ターゲット求職者にリーチしやすくなります。
【戦略②】経営陣・管理職の人柄発信でファン化促進
経営者の人柄発信は、企業への信頼感を高めます。
たとえば中小企業の特徴のひとつに、経営者と社員の距離が近いことが挙げられます。そのため、経営者の人間性が見えることで親近感が生まれます。
厚生労働省の調査によると、初めて勤務した会社を辞めた主な理由として「人間関係」が2位にランクインしています。一緒に働く人の人柄を事前に知れることは、求職者にとって大きな安心材料となるでしょう。
たとえば、 代表や役員が、経営理念の背景、起業ストーリー、社員への感謝エピソードを発信することで信頼感と親近感を演出できます。
特に、失敗談は共感を得やすいコンテンツのひとつ。さらに管理職は、部下育成の取り組み、チームマネジメントの工夫、若手社員への期待とサポート体制などを伝えることで、入社後のイメージがしやすくなります。
人柄が伝わる発信がファン化につながり、優秀な人材の関心を引くことができるでしょう。
【戦略③】業界専門知識の発信で企業の専門性をアピール
専門知識の発信で、業界でのポジション確立が可能です。専門分野の有益な情報を継続発信することで、業界オピニオンリーダーとしてのポジション確立と、学習意欲の高い求職者からの関心が獲得できます。
以下に、主要なSNSごとの専門性アピール方法をまとめてみました。ぜひ、参考にしてください。
X(旧Twitter)
リアルタイム性とテキストが中心のため、速報性のある情報や、思考の断片(インサイト)を伝えるのに適している。
| 業界トレンドの「一言解説」 | 最新ニュースや法改正の情報を企業独自の視点で簡潔に解説 |
|---|---|
| 専門用語の「#3行解説」 | 業界固有の難しい専門用語を、ターゲット層(求職者)に合わせて平易な言葉で説明 |
| 専門「あるある」と解決策 | 業界特有の課題や「あるある」を提起し、自社がどのように解決しているかを提示 |
| Q&A形式のツイート | 専門知識に関する質問を募り、専門家が回答する(親近感も醸成) |
Instagram / YouTube
視覚的なコンテンツが中心のため、わかりやすく専門知識を伝えるのに適している。
| 「How To」短尺動画(リール/ショート) | 業界の専門的ノウハウを、15秒~60秒のデモや図解アニメーションで分かりやすく伝える |
|---|---|
| 製品・サービスの「舞台裏」 | 製品開発の過程や、専門的な設備 |
| 社員の1日 | 仕事開始〜終わりまでの1日の様子をVlog形式で紹介 |
| 専門家対談 ライブ配信 | 専門家同士が、特定テーマについて議論する様子をライブ配信し、質疑応答を行う。 |
| 図解・インフォグラフィックス | 複雑なデータ分析の結果を、視覚的に整理されたわかりやすい画像で投稿 |
多様なプラットフォームで専門性をアピールすることで、様々な層の優秀な人材にアプローチできます。
【戦略④】採用イベント・説明会のライブ配信
ライブ配信は編集されていない生の情報を提供でき、参加できない求職者にもリーチしやすいです。
双方向のコミュニケーションも可能になります。InstagramやYouTubeのライブ配信を活用すれば、会社説明会を実施しつつ、チャット機能を使ってリアルタイムで質疑応答を行うことができます。
また、オフィスツアーのリアルタイム中継をすることで、職場環境を隠さずに見せることができ、さらに社員の自然な会話を配信することで、企業への信頼感を高める効果があります。
新人研修や社内勉強会の様子を一部公開すれば、成長環境や企業文化を効果的に伝えられます。 事前告知と配信後のフォローアップも重要で、一貫したコミュニケーションが成功の鍵です。
【戦略⑤】社員インタビュー動画で多様な働き方を紹介
様々な部署・年齢・職種の社員インタビューは、求職者が将来像を描きやすくなります。また、一人の声より複数の声の方が信頼性が高まります。
以下に、多様な働き方と企業の魅力を紹介するための具体的なインタビュー項目を、求職者の視点(知りたいこと)を元に整理してみました。
| 質問 | インタビューの意図 |
|---|---|
| 入社を決めた最大の理由は何ですか? | 企業の魅力や文化が、求職者の価値観とどう合致するかを伝える |
| 入社前と入社後で、最もイメージが違ったことは何ですか? | ポジティブな誤算を語ることで、正直さと透明性をアピール |
| 残業時間や有給休暇の取得状況について、実態を教えてください。 | ワークライフバランスの実態を透明性高く伝え、信頼性を高める |
| 会社で今後挑戦したいことやキャリア上の目標は何ですか? | 企業の将来性と、社員の成長意欲をアピールし、意欲的な求職者を惹きつける |
| 失敗談があれば教えてください。また、そのとき会社や上司はどのようにサポートしてくれましたか? | 心理的安全性の高さや、失敗を許容し、成長を促す企業文化を伝える |
| 育児や介護など、ライフイベントと仕事を両立するための制度(例:時短勤務、リモートワーク)は活用していますか? | 多様な働き方への企業の理解と、制度の実際の利用しやすさをアピール |
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質問: 入社を決めた最大の理由は何ですか? 質問の意図: 企業の魅力や文化が、求職者の価値観とどう合致するかを伝える |
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質問: 入社前と入社後で、最もイメージが違ったことは何ですか? 質問の意図: ポジティブな誤算を語ることで、正直さと透明性をアピール |
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質問: 残業時間や有給休暇の取得状況について、実態を教えてください。 質問の意図: ワークライフバランスの実態を透明性高く伝え、信頼性を高める |
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質問: 会社で今後挑戦したいことやキャリア上の目標は何ですか? 質問の意図: 企業の将来性と、社員の成長意欲をアピールし、意欲的な求職者を惹きつける |
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質問: 失敗談があれば教えてください。また、そのとき会社や上司はどのようにサポートしてくれましたか? 質問の意図: 心理的安全性の高さや、失敗を許容し、成長を促す企業文化を伝える |
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質問: 育児や介護など、ライフイベントと仕事を両立するための制度(例:時短勤務、リモートワーク)は活用していますか? 質問の意図: 多様な働き方への企業の理解と、制度の実際の利用しやすさをアピール |
作成した社員インタビュー動画は、YouTubeで長尺版、TikTokでショート版として展開し、さらに職種別・世代別のプレイリストに分けて公開すれば効果的です。
リアルな社員の声が最も説得力があり、求職者の不安を解消できるでしょう。
【戦略⑥】ハッシュタグ戦略で認知度アップ
適切なハッシュタグ選定は、ターゲット求職者へ情報を届けやすくします。また、検索性が高まり、偶然の出会いも創出できます。
たとえば、業界・職種関連タグ(#IT企業 #営業職 #エンジニア採用)、企業特徴タグ(#中小企業 #成長企業 #アットホーム)、働き方タグ(#リモートワーク #フレックス #有給取りやすい)を組み合わせて使用します。
自社独自のハッシュタグも作成し、社員にも使用を促進することでブランド認知向上効果が期待できます。
なお、一つの投稿で使うハッシュタグは3~5個程度に限定し、定期的な効果測定と見直しを行うことが重要です。
【戦略⑦】業界インフルエンサー・他社採用担当者との交流
SNSを活用して人脈を広げることで、優秀な人材と接点を持つ機会が生まれます。さらに、信頼関係のある人からの紹介は、成約率が高くなります。
たとえば、以下のような交流が有効です。
| 業界の有名人や専門家との交流 | 専門的な内容にコメントしたり、有益な情報をシェアしたりすることで、自社の専門性の高さをアピールできる | 他社の採用担当者との交流 | 採用の悩みや成功事例を共有することで、相互の求人情報拡散を促したり、連携の機会を創出したりできる | 求職者との交流 | 求職者からの質問やコメントには丁寧に返信し、DM(ダイレクトメッセージ)で個別相談を実施することで、エンゲージメントを高める |
|---|
このような積極的な活動の結果、企業の認知度向上、信頼性と親近感の高め、口コミによる拡散効果、人材紹介の可能性といったメリットを得られます。
まとめ:SNSで「見つけてもらう」から「選ばれる会社」へ

この記事でご紹介した通り、現代の優秀な人材は、求人票の抽象的な情報だけではなく、企業のリアルな価値観や働く人の様子をSNSで多角的に確認し、「ここで働く未来」を描いています。
SNSで自社の魅力と専門性を具体的に発信することは、「応募を待つ」段階から、「求職者に選ばれる」採用へと転換するための必須戦略です。
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著者情報
NWS ライターチーム | mino


